ミサワホームでの家づくりを検討する際、デザインや間取りと並んで重要なのが、日々の暮らしの快適性を左右する「断熱性能」です。
特に「標準仕様のままで十分なのだろうか」「断熱材の厚さをグレードアップすべきか」といった点は、多くの方が悩むポイントではないでしょうか。
当たり前のように、夏は涼しく、冬は暖かい。
そんな理想の住まいを実現するためには、断熱材の選択が鍵を握ります。
この記事では、ミサワホームの断熱仕様について、標準でどのような性能を持っているのか、そしてグレードアップすることで何が変わり、どのくらいの費用がかかるのかを、客観的な情報に基づいて詳しく解説します。
後悔しない家づくりのために、断熱材に関する知識を深めていきましょう。
- ミサワホームの標準的な断熱仕様と性能レベル
- 断熱材のグレードアップがもたらす具体的な効果
- オプション追加にかかる費用と長期的なコストパフォーマンス
- 自身のライフスタイルに合った最適な断熱仕様の選び方
ミサワホームの断熱材は厚さのグレードアップが必要か

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ミサワホームの住まいは、標準仕様であっても高い断熱性能を備えています。
しかし、より高いレベルの快適性や省エネルギー性を求めるならば、グレードアップは非常に有効な選択肢となります。
まずは、その判断の基礎となる標準仕様の内容、つまり断熱材の材質や性能、そして実際の評判について詳しく見ていきましょう。
ミサワホームの断熱材、標準の材質は?
ミサワホームが採用する断熱材は、適材適所の考え方に基づき、主に「グラスウール」と「ロックウール」が使用されています。
これらは無機繊維系断熱材と呼ばれ、断熱性、防火性、耐久性、そしてコストのバランスに優れた材質です。
具体的には、壁や1階の床には高性能なグラスウールが用いられます。
これは工場生産される木質パネルの内部に、隙間なく均一に充填されるため、施工精度が高く、品質が安定しているのが大きな特徴です。
一方、天井にはグラスウール、もしくは準耐火仕様が求められる場合には、より耐火性能に優れたロックウールが採用されます。
このように、建物の部位ごとに最適な材質を使い分けることで、家全体の断熱性能を合理的に高める設計になっています。
言ってしまえば、標準仕様の段階で、住宅の性能を長期間維持するための堅実な材料が選定されていると考えられます。
標準仕様で使われるグラスウール24kとは

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ミサワホームの断熱材について調べる中で「グラスウール24k」という言葉を目にすることがあります。
この「24k」という数値は、グラスウールの密度を示す単位で、1立方メートルあたりの重さが24kgであることを意味します。
一般的に、グラスウールは密度が高いほど繊維が細かくなり、繊維間に含まれる空気の動きが抑制されるため、熱を伝えにくくなる、つまり断熱性能が向上します。
高密度の利点
一般的な木造住宅で用いられるグラスウールの密度が10k~16k程度であることを考えると、24kはより高性能な「高密度グラスウール」に分類されます。
ミサワホームでは、この高性能なグラスウールを壁パネルなどに採用することで、標準仕様でも優れた断熱性能を実現しています。
さらに、一部の仕様やオプションでは、より密度の高い36kのグラスウールを選択することも可能な場合があります。
これは、さらに高い断熱性を追求するための選択肢であり、標準仕様の枠を超えた性能を求める方に向けた提案と言えます。
このように、標準で採用されるグラスウール一つをとっても、その性能にこだわっていることがうかがえます。
断熱材の厚みが室内環境に与える影響
断熱材の性能は、前述の通り材質や密度によって決まりますが、それと同じくらい「厚み」が室内環境の快適性に直接的な影響を与えます。
原理は単純で、断熱材が厚ければ厚いほど、外の暑さや寒さが室内に伝わりにくくなり、室内の快適な温度が外に逃げにくくなるのです。
ミサワホームでは、この「厚み」についても柔軟な選択が可能です。
例えば、壁パネルの厚みは標準の90mm(商品による)から、より断熱性の高い120mm仕様に変更できます。
特に効果が大きいのが天井の断熱で、標準の仕様から最大で400mmまで厚みを増すことが可能です。
これにより、夏の厳しい日差しによる屋根からの輻射熱を効果的に遮断し、2階の室温上昇を大幅に抑制できます。
逆に冬は、暖房で暖められた室内の空気が天井から逃げるのを防ぎ、足元の冷えを和らげる効果も期待できます。
このように、断熱材の厚みを適切に設定することは、一年を通して快適な室温を維持し、結果として冷暖房費の削減にもつながる重要な要素となります。
木質パネル工法がもたらす高い気密性

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どれだけ高性能な断熱材を使用しても、家に隙間が多くては性能を十分に発揮できません。
その点で、ミサワホームが採用する「木質パネル接着工法」は、断熱性能を支える上で非常に重要な役割を果たしています。
この工法は、壁・床・天井を構成する木質パネルを工場で精密に生産し、現場で強固に一体化させるものです。
気密性能を示すC値
住宅の気密性能はC値(隙間相当面積)という数値で示され、この値が小さいほど隙間が少なく、気密性が高いことを意味します。
C値については、旭化成のサイトの説明がわかりやすく、以下より確認できます。

ミサワホームの住まいは、工場生産による品質の安定性と精度の高い施工により、このC値が安定して低いレベルにあります。
気密性が高いと、断熱材の効果を最大限に引き出せるだけでなく、意図しない空気の出入りがなくなるため、24時間換気システムが計画通りに機能し、効率的な空気の入れ替えが可能になります。
また、壁の中に湿気が侵入するリスクを低減し、内部結露を防ぐ効果もあります。
以上のことから、ミサワホームの構造そのものが、高い断熱・気密性能を生み出す土台となっていると言えるでしょう。
断熱性能に関する評判と客観的な評価
ミサワホームの断熱性能に関する評判を調べると、さまざまな意見が見られます。
「冬でもエアコン1台で暖かい」「以前の住まいより光熱費が安くなった」といった満足度の高い声がある一方で、「夏場の2階は暑く感じる」「リビング階段にすると冬は少し寒い」といった指摘も存在します。
断熱という意味では昭和基地を受注し続けているミサワホームの異常断熱も推したいところだが、まぁ普通に寒い時は寒い。それより「自由度」といって素人が家を建てる時に自由に建ててもあまりいいことはないというのが私の得た教訓であり、費用のこともあるし一条工務店が選ばれるのは当然なのだろう。
— うでパスタ (@UDPasta) January 4, 2025
(ところでこのツイートで知ったのですが、昭和基地の断熱はミサワホームがやってるんですね。確かに公式にも書いてありました。ガチ感がすごい。)
客観的な性能指標UA値
そこで、客観的な評価基準としてUA値(外皮平均熱貫流率)があります。
これは、建物全体からどれだけ熱が逃げやすいかを示す数値で、値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。
ミサワホームの住まいは、標準仕様でもZEH(ゼッチ)基準であるUA値0.6以下をクリアしており、客観的に見て高い断熱性能を有していることは間違いありません。
特に近年では、「スマートテック断熱」といった仕様により、さらに高い断熱等級への対応も進んでいます。
これらの事実から、個人の感想だけでなく、公的な基準においてもミサワホームの断熱性能は高く評価されていることがわかります。
高天井でも快適な空間を保つ断熱の工夫
リビングに高天井や吹き抜けを採用すると、開放的で明るい、魅力的な空間が生まれます。
しかし、その一方で、断熱設計を誤ると「冬は寒く、夏は暑い」快適性の低い空間になりがちです。
これは、暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下降するという空気の性質によるもので、上下の温度差が大きくなりやすいためです。
ミサワホームでは、このような大空間の快適性を確保するために、断熱性能を高める様々な工夫を用意しています。
最も効果的な対策の一つが、前述の通り天井断熱の強化です。
断熱材の厚みを最大400mmまで増やすことで、天井からの熱の出入りを強力にブロックします。
さらに、屋根パネル自体に遮熱層を設けた「遮熱屋根パネル」をオプションで採用すれば、断熱と遮熱の二重の効果で、特に夏場の厳しい日差しによる室温上昇を和らげることが可能です。
もちろん、熱の出入りが最も大きい開口部(窓)に、アルゴンガス入りの複層ガラスや樹脂サッシといった高性能な製品を選ぶことも、大空間の快適性を保つ上では欠かせないポイントとなります。
ミサワホーム断熱材の厚さグレードアップ費用と効果

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標準仕様でも高い性能を持つミサワホームの断熱ですが、さらなる快適性を求めてグレードアップを検討する価値は十分にあります。
ここからは、具体的にどのようなオプションがあるのか、そして断熱等級6や7といった最高水準の性能、気になる費用と長期的なコストパフォーマンスについて掘り下げていきます。
断熱性能を高めるオプションの種類
ミサワホームでは、より高い断熱性能を実現するために、建物の各部位に応じた多彩なオプションが用意されています。
これらを組み合わせることで、ZEH基準を上回るHEAT20 G2レベルや、さらに上の断熱等級を目指すことが可能です。
部位 | 標準仕様(一例) | グレードアップオプション(一例) |
---|---|---|
壁 | 木質パネル(厚さ90mmなど)、高性能グラスウール24k | 木質パネル(厚さ120mm)、高密度グラスウール36k、外張り断熱の追加 |
天井 | グラスウールまたはロックウール(厚さ200mmなど) | グラスウールまたはロックウールの厚みを増量(最大400mm) |
屋根 | – | 遮熱屋根パネル(断熱・遮熱の二重構造) |
床 | グラスウール(厚さ100mmなど) | 押出法ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなど高性能断熱材への変更 |
開口部 | アルミ樹脂複合サッシ、Low-E複層ガラス(アルゴンガス入り) | 高断熱樹脂サッシ、Low-Eトリプルガラス |
これらのオプションは、それぞれ単独で選択することもできますが、パッケージ化された高断熱仕様として提案されることもあります。
例えば、壁の厚みを増し、サッシのグレードを上げるだけでも、体感できる快適性は大きく向上するでしょう。
どのオプションを選択するかは、建設地の気候条件や予算、そしてどの程度の快適性を求めるかによって変わってきます。
断熱等級6から断熱等級7への対応

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近年、住宅の省エネルギー基準は段階的に引き上げられており、ZEH基準の「断熱等性能等級5」や、それを上回る「等級6」「等級7」が新たな目標として設定されています。
ミサワホームは、こうした時代の要請にいち早く応え、業界トップクラスの断熱性能に対応する技術を持っています。
スマートテック断熱アドバンス
特に、最高水準である断熱等級7を実現するのが「スマートテック断熱アドバンス」という仕様です。
これは、従来の木質パネルによる充填断熱に加えて、建物の外側からさらに断熱材で覆う「外張り断熱」を付加するダブル断熱工法です。
これにより、構造体である柱などが熱を伝えるヒートブリッジ(熱橋)現象を効果的に抑え、極めて高い断熱性能を発揮します。
このレベルになると、真冬でもわずかな暖房で家中が暖かく、夏はエアコンの冷気が逃げにくいため、エネルギー消費を大幅に削減できます。
将来のエネルギー価格高騰や、より厳しい省エネ基準にも余裕を持って対応できる、まさに未来基準の住まいと言えます。
断熱等性能等級 | UA値の目安(6地域) | 概要 |
---|---|---|
等級4 | 0.87 | 平成28年省エネ基準(2025年4月から義務化) |
等級5 | 0.60 | ZEH基準 |
等級6 | 0.46 | HEAT20 G2グレード相当 |
等級7 | 0.26 | HEAT20 G3グレード相当(最高等級) |
高断熱仕様の価格と長期的なコスパ
断熱材のグレードアップを検討する上で、最も気になるのが追加費用です。
家の大きさや選択するオプションの内容によって価格は大きく変動しますが、一般的な目安としては、ZEH仕様やそれを超える高断熱仕様にするために70万円から150万円程度の追加費用がかかると言われています。
この金額だけを見ると高く感じるかもしれませんが、長期的な視点でのコストパフォーマンスを考えることが大切です。
さらに、金銭的なメリットだけではありません。
室内の温度差が少なくなることでヒートショックのリスクが低減したり、結露によるカビの発生を抑えたりと、家族の健康維持にもつながります。
これらの付加価値を考慮すると、高断熱仕様への投資は、単なる出費ではなく、快適で健康的な暮らしと将来の安心を手に入れるための価値ある投資と考えられるでしょう。
高気密住宅で注意したいカビのリスク

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高気密・高断熱住宅は、快適な室内環境を保つ上で多くのメリットがありますが、一つだけ注意すべき点があります。
それは、計画的な換気を行わないと湿気がこもりやすく、結露やカビが発生するリスクがあることです。
気密性が高いということは、家の隙間からの自然な空気の出入りが少ないことを意味します。そのため、料理や入浴、人の呼吸などによって発生した水蒸気が室内に滞留しやすくなるのです。
この対策として、ミサワホームでは「熱交換型24時間フロアセントラル換気システム」を標準で装備しています。
このシステムは、室内の汚れた空気を排出し、新鮮な外気を取り入れる際に、それぞれの空気が持つ熱を交換することで、冷暖房のエネルギーロスを最小限に抑えるものです。
カビのリスクを避けるためには、この換気システムを常に作動させておくことが基本となります。
一部で「冬場に換気扇を動かしていると寒い」という理由で止めてしまうケースもあるようですが、これは結露やカビの原因となるため絶対に避けるべきです。
また、フィルターが汚れると換気能力が低下するため、定期的な清掃や交換といったメンテナンスも、住まいの性能を維持する上で不可欠です。
『ミサワホーム断熱材の厚さグレードアップは必要?』総括
- 標準仕様でもZEH基準を満たす高い性能を持つ
- より快適で省エネな暮らしにはグレードアップが有効
- 壁や天井の断熱材は厚さを増すオプションがある
- 特に天井断熱の強化は夏の快適性に大きく寄与する
- 開口部は高断熱樹脂サッシへの変更で性能が格段に向上
- 初期費用は長期的な光熱費削減で回収できる可能性がある
- 健康維持といった付加価値もグレードアップのメリット
- 独自の木質パネル工法が高い気密性と断熱性を支える
- 最高水準である断熱等級7にも対応可能
- 高気密住宅では24時間換気の常時稼働が不可欠
- 換気システムの定期的なメンテナンスを怠らない
- 高天井や吹き抜けには断熱強化が必須となる
- 費用対効果は地域の気候やライフスタイルを考慮して判断する
- 家族で求める快適レベルを話し合うことが後悔しない秘訣
- 断熱への投資は未来の暮らしの質への投資と捉える
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