家の断熱性能は、快適な暮らしを実現するうえで欠かせない要素です。
特に積水ハウスの住宅を検討している人にとって、「ぐるりん断熱」の特徴やグレードアップによる違いは気になるポイントではないでしょうか?
断熱材を強化することで、冷暖房効率の向上や光熱費の削減が期待できますが、その分コストもかかるため、慎重な判断が求められます。
本記事では、積水ハウスの断熱仕様やグレードアップのメリット・デメリットを詳しく解説し、最適な選択ができるようサポートします。
- 断熱等級やUa値の基礎知識
- 積水ハウスの「ぐるりん断熱」の特徴と断熱性能の違い
- 断熱グレードを上げることで得られるメリットとデメリット
- グレードアップにかかる費用とコストパフォーマンスの考え方
積水ハウスの断熱材をグレードアップする前に
家の快適性を左右する「断熱性」は、暮らしやすさだけでなく光熱費や健康にも影響を与えます。
積水ハウスでは「ぐるりん断熱」という独自の断熱工法を採用していますが、ニーズや予算に応じてグレードアップすることも可能です。
しかし、その前に断熱等級の基礎知識を理解しておくことが大切です。
断熱等級はどのように決まるのか、住宅の性能にどのような影響を与えるのかを知ることで、自分にとって最適な断熱性能を選びやすくなります。
断熱等級の基礎知識
断熱等級とは、住宅の断熱性能を示す指標で、国が定めた基準に基づいて1~7の等級に分類されます。
数字が大きいほど断熱性能が高く、より快適な室内環境を維持しやすくなります。
特に近年、エネルギー消費を抑えるために断熱性能の向上が求められており、2022年には等級5・6・7が新設されました。
断熱等級を決める基準として、住宅の「外皮性能」が重要になります。外皮とは屋根、壁、床、窓など建物の内外を区切る部分を指し、その熱の通しにくさによって等級が決まります。
現在の省エネ基準では、2025年からすべての新築住宅に断熱等級4以上が義務付けられる予定です。
また、2030年には等級5が最低基準になる可能性が高いため、新築住宅を建てる際には等級6以上を目指すことが推奨されています。
住宅の断熱性能を高めることで、冬は暖かく夏は涼しい環境を作りやすくなり、冷暖房の使用頻度も抑えられます。
その結果、光熱費の削減やCO2排出量の低減につながるため、住む人にとっても環境にとってもメリットが大きいといえます。
断熱等級を理解し、自分の住む地域やライフスタイルに適した住宅性能を選ぶことが重要です。
Ua値(外皮平均熱貫流率)について
Ua値(外皮平均熱貫流率)は、住宅の断熱性能を示す重要な指標です。
これは、建物の内部から外部へ逃げる熱量を、外皮面積で割った数値で表されます。数値が低いほど熱が逃げにくく、断熱性が高いことを意味します。
Ua値を向上させるには、外壁や屋根に厚みのある断熱材を使用することや、断熱性の高い窓を採用することが重要です。
特に窓やドアなどの開口部は熱の出入りが激しいため、二重ガラスや樹脂サッシなどを取り入れることで、効果的に数値を下げることができます。
住宅の快適性や省エネ性能を向上させるためには、Ua値の低さが鍵となります。ただし、Ua値だけでは断熱性能を完全に評価することはできません。
日射の影響を考慮したηAC値や、気密性能を示すC値なども併せて確認することで、よりバランスの取れた住まいを実現できます。
このあたりについては、経済産業省の【参考】住宅における外皮性能という詳しい資料がありますので、よければご覧ください。
断熱等級が高いことのメリット&デメリット
断熱等級が高い住宅には多くのメリットがありますが、一方でデメリットや注意点も存在します。
住宅を建てる際は、両面を理解したうえで適切な等級を選ぶことが大切です。
最大のメリットは、室内の温度を一定に保ちやすくなることです。外気温の影響を受けにくいため、冬は暖かく夏は涼しい環境を維持しやすくなります。
その結果、エアコンの使用頻度が減り、光熱費の削減につながる点も魅力です。
また、ヒートショックのリスク軽減や、アレルギー・喘息などの健康面での改善効果も期待できます。
さらに、高い断熱性能を持つ住宅は、資産価値の向上にもつながるため、将来的な売却時にも有利に働く可能性があります。
一方で、デメリットとしては建築コストが高くなりやすい点が挙げられます。
高性能な断熱材や二重・三重ガラスの窓を採用することで、初期費用が増加する傾向にあります。ただし、長期的に見ると光熱費の削減によって回収できるケースも多いため、コストバランスを考慮することが重要です。
また、断熱性が高い住宅は密閉性も向上するため、適切な換気を行わないと湿気がこもりやすくなります。
これを防ぐためには、計画換気システムを適切に運用し、定期的に換気口の掃除やフィルター交換を行うことが大切です。
このように、断熱等級の向上にはメリットとデメリットの両面があるため、自分のライフスタイルや予算に合わせて適切な等級を選ぶことが大切です。
理想的な断熱等級のめやすは
断熱等級の選び方は、地域の気候やライフスタイルによって異なります。現在、日本では等級1から7までの基準があり、数値が高いほど断熱性能が優れていることを示します。
しかし、すべての住宅で最高等級が必要というわけではなく、適切な断熱等級を選ぶことが重要です。
一般的に、2025年からはすべての新築住宅で等級4以上が義務化されるため、最低でもこの基準を満たすことが求められます。
さらに、2030年には等級5が最低基準となる可能性が高く、長期的な視点で考えるなら等級5以上を目指すのが望ましいでしょう。
一方で、比較的温暖な地域では、等級5程度でも十分な断熱性を確保できます。ただし、猛暑が増加しているため、夏の暑さ対策としても断熱性能の向上は有効です。
また、家族構成や生活スタイルも考慮するべき要素です。例えば、高齢者や小さな子どもがいる家庭では、ヒートショックを防ぐために断熱性能の高い住宅が推奨されます
将来的な光熱費の削減や快適性を重視する場合も、等級6以上を検討するとよいでしょう。
このように、住む地域やライフスタイルに応じた適切な等級を選ぶことで、コストと快適性のバランスを取りながら、快適な住環境を実現できます。
積水ハウスの断熱材をグレードアップするとどれくらい変わる?
積水ハウスでは、標準仕様の断熱性能に加え、さらに高い断熱性を求める方向けにグレードアップの選択肢が用意されています。
特に独自の「ぐるりん断熱」は、住宅全体の断熱性を高める工法として採用されており、グレードを上げることでより快適な住環境を実現できます。
まずは、この「ぐるりん断熱」の特徴について詳しく見ていきましょう。
積水ハウスの「ぐるりん断熱」の特徴について
積水ハウスの「ぐるりん断熱」は、住宅全体を均一に断熱材で包み込む独自の断熱工法です。
この工法では、壁・床・天井といった主要部分だけでなく、梁や柱の周辺まで断熱材を敷き詰めることで、熱の出入りを極力抑えることを目的としています。
一般的な断熱工法では、壁や天井に断熱材を充填しても、梁や柱などの構造部分にすき間が生じることがあります。
また、この工法では、床断熱にも力を入れています。床全体を連続した断熱材で覆うことで、足元からの冷気の侵入を防ぎ、冬場でも快適に過ごせる環境を作り出します。
窓には断熱性能の高いLow-Eペアガラスを採用し、開口部からの熱の流出入も抑える仕様となっています。
このように、「ぐるりん断熱」は断熱性能を高めるだけでなく、冷暖房効率の向上や、室内の温度ムラを軽減する役割も果たします。
標準仕様でも一定の断熱性能を確保していますが、寒冷地や省エネを重視する場合は、さらにグレードアップを検討するとよいでしょう。

断熱グレードは3段階
積水ハウスの「ぐるりん断熱」には、標準仕様・ハイグレード仕様・プレミアム仕様の3段階が用意されています。
これにより、住む地域の気候やライフスタイルに応じて、最適な断熱性能を選択できます。
標準仕様は、次世代省エネルギー基準を満たしており、多くの地域で十分な断熱性能を発揮します。
一方、より高い快適性を求める場合は、ハイグレード仕様が適しています。このグレードでは、壁や天井の断熱材の厚みが増し、冷暖房の効率が向上します。
さらに、寒冷地や断熱性能を最重視する家庭向けには、プレミアム仕様があります。この仕様では、特に熱損失が大きい開口部の強化や、より高密度の断熱材を使用することで、断熱性が大幅に向上します。
これらのグレードは、地域の気候条件や家族の健康、光熱費の削減といった観点から選ぶことが重要です。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った仕様を選択することで、快適で省エネな暮らしを実現できます。
ぐるりん断熱のグレードアップによる性能の違い
「ぐるりん断熱」のグレードを上げることで、断熱性能だけでなく、住まいの快適性や光熱費削減効果も大きく変わります。
主な違いは、使用する断熱材の厚さや密度、開口部の仕様にあります。
標準仕様では、壁や床、天井に基本的な断熱材を使用し、UA値(外皮平均熱貫流率)は0.6~0.9程度とされています。これは一般的な省エネ基準を満たすレベルで、多くの地域で快適に過ごせます。
しかし、寒冷地や断熱性をより重視する場合は、ハイグレード仕様が適しています。ハイグレード仕様では、壁や屋根の断熱材が厚くなり、特に天井部分には高性能グラスウールが追加されます。
プレミアム仕様では、さらに断熱材の密度が高まり、開口部にはトリプルガラスや高断熱仕様の窓が採用されます。
このグレードではUA値が0.4以下に抑えられ、冷暖房の負荷が大幅に軽減されるため、光熱費の削減効果が高まります。
断熱グレードを上げることで、初期コストは増えますが、長期的な省エネ効果や快適性の向上を考えると、十分なメリットが得られます。
自身の住環境に合ったグレードを選ぶことが、理想的な住まいづくりにつながります。
費用面ではどれくらい変わる?
積水ハウスの断熱グレードを上げることで、初期費用は増加します。
具体的な金額は住宅の規模や仕様によって異なりますが、一般的には標準仕様からハイグレード仕様にアップグレードすると30~50万円程度、さらにプレミアム仕様にすると70~100万円程度の追加費用がかかることが多いです。
この費用の差は、使用する断熱材の種類や厚み、窓のグレードアップによるものです。
ただし、初期費用の増加分を長期的な光熱費の削減で回収できる可能性があります。
断熱性が高まることで冷暖房効率が向上し、エアコンの使用頻度が減るため、年間数万円単位での光熱費削減が期待できます。
さらに、補助金制度を活用できる場合もあるため、国や自治体の省エネ住宅支援策について確認するのも有効です。
以下の国土交通省のホームページに補助金一覧がありますので、よければチェックしてみてください。
費用負担と省エネ効果のバランスを考慮し、自分のライフスタイルや予算に合った断熱グレードを選ぶことが重要です。
総合的に見て積水ハウスの断熱性は高い?
積水ハウスの断熱性能は、業界内では「標準以上、高性能クラスにはやや及ばない」といった評価になります。
特に、同じ大手ハウスメーカーと比較すると、高い水準にはあるものの、一条工務店のような高気密・高断熱を全面に打ち出したメーカーには及ばない点もあります。
積水ハウスの強みは、「ぐるりん断熱」による施工精度の高さです。標準仕様でも断熱材の厚みが確保されており、窓にはLow-Eガラスを採用するなど、省エネ性能を一定レベル以上に保っています。
また、軽量鉄骨造・木造シャーウッドのどちらを選んでも、同等の断熱性能が得られる点も特徴です。
一方で、気密性能を示すC値は公表されておらず、断熱性能だけでなく気密性も重視する場合は、他のハウスメーカーと比較検討する必要があります。
総合的に見ると、積水ハウスの断熱性能は十分に高く、多くの地域で快適な住環境を実現できます。
ただし、寒冷地に住む場合や、より高い断熱性能を求める場合は、ハイグレード仕様以上にすることで、より快適な暮らしが可能になります。
断熱性能とコストのバランスを見極め、自分に最適な選択をすることが大切です。
『積水ハウスの断熱材はグレードアップできる?』内容の総括
- 断熱性は快適性だけでなく光熱費や健康にも影響する
- 積水ハウスは「ぐるりん断熱」という独自工法を採用
- 断熱等級は1~7まであり、数値が高いほど断熱性能が優れる
- 断熱等級は2025年に4以上が義務化され、2030年には5以上が推奨される
- Ua値は住宅の熱の逃げやすさを示し、数値が低いほど断熱性が高い
- Ua値の向上には断熱材の厚みや高断熱窓の採用が重要
- 断熱等級が高いと室温が安定し、光熱費削減や健康改善の効果がある
- 高断熱住宅は建築コストが上がるが、長期的な省エネ効果が期待できる
- 密閉性が高まるため、適切な換気が必要
- 積水ハウスの「ぐるりん断熱」は住宅全体を包み込む断熱工法
- 断熱グレードは標準・ハイグレード・プレミアムの3段階
- グレードを上げると断熱材の厚みや窓の性能が向上する
- グレードアップには30~100万円程度の追加費用がかかる
- 長期的に見ると、光熱費削減によるコスト回収が可能
- 積水ハウスの断熱性は高水準だが、他の高断熱住宅メーカーには及ばない点もある
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